世界数10ヵ国の大学・研究機関の研究グループが参加し、共通の調査票を用いて各国国民の「価値観」を調べる「世界価値観調査」。調査は、5年ごとに行われ、直近では2010年期の調査が公表されている。「自然環境」「安全」「創造性」「協調性」「社会貢献」「伝統と宗教」「成功」「楽しい生活」「挑戦」「裕福さ」の10項目について各国の国民が、どの「項目」を重視しているかを順位づけした日本人の「価値観順位」が興味深い(⬆上のグラフ参照)。これらの価値観の仲で日本人が重要と考えている価値観の順位は、「自然環境」と「安全」についてがともに世界1位、「創造性」は3位と上位にランクインしたが「社会貢献」が52位、「成功」が53位、「裕福さ」が57位、「挑戦」が60位、という結果だった。日本が「自然環境」と「安全」「創造性」という価値観を重視して上位にランク付けしたのは納得できる結果だが、「成功」や「挑戦」や「裕福さ」をあまり重視してない点についてはどう理解すればよいのだろうか?日本の高度成長の時代が終わり、他人を押しのけてまで「成功」や「挑戦」を求めず、「裕福さ」にも価値を見出さなくなった現代日本人の「価値観」。成功や裕福を求めず、挑戦もしなくなった日本人が、国際社会の競争の場で勝つことが少なくなっている現実は、人間としての「活力」を失いつつあるという事にはならないだろうか?少子高齢化や人手不足が深刻な日本の現状を考えれば、今一度、我々日本人の「価値観」についての見直しが迫られている時代が来ていると言えるだろう。