日本には、仏教の考え方が浸透していて、仏教で言うところの凡夫の自覚を持ち、質素倹約、小欲知足の精神が重視されているはずなのに、日本人は個人向け高級ブランドの世界最大の消費地として知られ、国内のみならずニューヨークやミラノ、パリといった都市でも買い物をして世界の高級ブランド産業の目覚ましい成長に貢献している。この日本人の一見相反する現象に注目したミシガン大学マーケティング部のラジーブ・バトラ教授は、日本人の18歳から64歳までの消費者3000人以上から得たデータを用いて、その消費行動の意図について分析を行った。その結果、日本人には宗教的な価値観よりも「集団主義」が重要な役割を果たしていることが判明。集団主義社会では、人々はしばしば社会集団の意見に影響され、仲間に好印象を与えて集団に溶け込むために高価なものや自分の地位を高める目的で、贅沢品の高級ブランド品の購買につながっている可能性があることがわかった。バトラ教授は「西洋の個人主義文化では「見せびらかし」や「物質主義的なもの」として否定的に捉えられる行為が、日本の集団主義文化では「集団の中で地位を確立するもの」として支持される可能性が高いことがわかりました」と語っている。集団主義文化の中で生まれる「見せびらかし精神」、高級ブランド好きのナゾがこれで解けた。