日大アメフト選手の悪質タックル事件、傷害罪で刑事告訴された監督とコーチが宮川選手に危険なタックルを指示した「事実は認められない」として警視庁が傷害容疑での立件を見送ったというニュースに首を傾げた人は多いだろう。しかしこの決論を出すまでに警視庁は捜査1課のアメフト経験者や事件の起きた競技場のある調布署などによる特別捜査チームを立ち上げ、アメフト関係者や競技の専門家など延べ200人に事情聴取し、さらにはタックルシーンの映像をあらゆる角度から解析し、監督・コーチ・宮川選手の記者会見発言内容の裏付け捜査まで行うという完璧な捜査の結果「監督・コーチが危険なタックルを指示した事実は認められない」と判断したという。逆に宮川選手については動画の解析によって傷害の実行行為があったと認定し書類送検する予定だという。この結論にネット上では「監督・コーチは無罪で宮川選手が有罪だなんて」と憤慨するたくさんの書き込みが上がったが、刑事裁判では「事実認定は証拠によってなされる」という原則がある。宮川選手の悪質タックルの事実は映像が「証拠」となり、監督・コーチの「相手を潰せ」の発言があった「証拠」はどこにも残ってない。宮川選手の手痛いミスは監督・コーチからの指示内容を録音し「証拠」として残しておかなかった点だろう。彼が「証拠裁判主義」という法律のイロハを学べる「法学部」の学生だったら監督・コーチの乱暴な指示を録音し「証拠」を残すことを確実にしただろうに、と少々悔やまれる結果となった訳だ。