急死した俳優大杉漣さん。下積み時代が長かったその俳優人生を大きく変えたのは北野武監督の映画「ソナチネ」のオーディションに合格した事が始まりだった。大杉さんの追悼番組を見ていたら、26年前の当時のオーディションの一部始終について大杉さんは「(1時間以上遅刻して行ったオーディション会場で)一瞬だけ監督の武さんが居らして、チラと(僕を)見ただけなんですね。これは落ちたんだなと思って」「後で連絡いただいて君で行くからって連絡いただいたんですよ。どうして僕なのかなって武さんに聞いたことは無いですけど」と合格した経緯について不思議そうに語っていた。この合格を出した北野武監督が自身がキャスターを務めるニュース番組の中でその理由を語っている。「(大杉)漣さんはソナチネに受からなかったら普通のサラリーマンになりますって言ってて(1時間も)遅れちゃうんだよね。でも会ったら、アッこの人を使うべきだ、と思ったんだよね」とたった2秒ほどの大杉漣さんとの出会いの瞬間について語っている。大杉漣さんを特徴づけるまっすぐに人を見つめる強い眼差し、北野監督はその眼力を見て一瞬にして彼の演技力というものを読み取れたのだろう。大杉さんが名脇役としてブレークするきっかけを作った北野監督作品で最後の出演となったのが「アウトレイジ最終章」、北野監督は「漣さんは死ぬ役なんだよね。変な言い方だけど俺が生かして俺が死なせたみたいで」と涙ぐんだ。北野監督ならずとも惜しまれる名バイプレーヤーの突然の死であった。合掌。