衆院選の投開票前日に海外へと敵前逃亡した小池百合子都知事。ひんぱんに公務をキャンセルして国政への足掛かりを作っていたくせに、旗色が悪くなった途端に公務でのパリ行きを急に思い立つその策略は相変わらず見事だった。党首としての「敗戦の弁」を多くのマスコミの前で語るなぞ百戦練磨の彼女としては屈辱以外の何物でもない、だからパリへ逃げたというのが大方の見方だった。分の悪い開票が進むテレビの選挙特番の中では池上彰氏に衛星中継で呼び出され「一番肝心な時に日本に居ない」と詰め寄られると「今は私が代表ですが(帰国したら)当選した国政の方々による運営というカタチにします」と党首退陣の意志さえ仄めかした。さらに現地でのケネディ元駐日大使との対談の場で「都知事選で1つ、都議選で1つガラスの天井を破ったが今回鉄の天井があることを知った」とも語っている。女性のキャリアアップを阻むモノの例えとして使われている「ガラスの天井」これを破るという彼女の政治命題を今回の選挙戦では見失ってしまったという言い訳だ。25年前、彼女がニュースキャスターから政界入りを果たした時から何くれと良きアドバイサーであり続けた元首相の細川護熙氏は「討幕が始まると思っていたけど」と彼女について語ったあとに「熱が冷めた、それだけです」と述べたと言う。「政界の父親」の熱がすっかり冷めてしまった小池百合子女史、ついに「パリに死す」である。