日本の「1人あたりGDP」が悪化を続けている、2000年に世界2位だったのが、2023年には34位にまでランクダウンした。しかし、「1人あたりGDP」をもとに、日本の“豊かさ”をジャッジするのは問題がある、とサイエンスジャーナリスト・鈴木祐氏が異を唱えている。鈴木氏によれば「2008年、フランス大統領サルコジが、リーマンショックで荒れ果てた世界経済を前に「従来の指標で国の豊かさは計れない」と、新しいものさしを作ることを提案し、ノーベル賞の受賞者を中心に経済学界のオールスターとも言える顔ぶれを集めて生み出した新たな「豊かさの指標」は、次の三つだった。1:人的資本は豊富か?その国に生きる人々が、どれだけの知識や技能を持ち、心身が健康でいるかどうか。 2:人工資本は豊富か?道路、発電所、ネット回線、水道、医療など、社会を支える基盤が充実しているかどうか。 3:自然資本は豊富か?きれいな河川、管理された森林、美しい景観など、将来世代が受け継ぐ自然環境は豊かかどうか。こうして生まれた指標が「インクルーシブ・ウェルス」だ。インクルーシブ・ウェルスで見た場合、日本は総量でアメリカに次ぐ世界2位、1人あたりのランキングでは世界1位だった。資産の蓄積に関しては、日本は「世界で最も豊かな国のひとつ」だと評価された。それでもあなたは、日本のマスコミが口を揃えて言う「日本は世界に比べて貧しい国」だと思いますか?