
20年ほど前は、高齢のアルツハイマー型認知症の患者がほとんどだったのに、ここ数年、まだ働き盛りの年齢なのに「物忘れ」の症状で訪れる患者が増えていることに気づいた「おくむらメモリークリニック」理事長の奥村歩医師。認知症を発症するにはまだ早過ぎる年代のこうした人々の背景には、スマホによる“脳過労”があると気付いた奥村医師、「スマホ認知症」の名付け親のドクターとして知られている。奥村医師によると、暮らしの中での様々な不安を解消しようと調べ物などでスマホをひんぱんに活用する。それによって莫大な情報量が脳に詰め込まれ、疲弊し、判断力や記憶力、コミュニケーション力が低下してしまう症状を「スマホ認知症」と名付けたという。医学的に解説すると、記憶や思考、判断など高次機能を持つ脳の「前頭前野」、情報を得ようとスマホを頻繁に使用し続けていると、この「前頭前野」の働きが落ちて、脳の萎縮や認知機能低下につながるのだという。「情報が多すぎて整理整頓ができていないこうした状態を奥村医師は「脳のゴミ屋敷化」と表現する。「30代、40代ならばまだ脳機能が活発で多少情報量が過剰気味でも処理できますが、人生後半50代になると脳の老化が一気に進み、キャパオーバーになってしまいます。すると、人やモノの名前が出てこない、気持ちを伝える言葉がパッと浮かばない、相手の話をうまく理解できないといった認知症のような症状が現れる。こうした『スマホ認知症』を放置していると、脳の機能がみるみる低下し、本当の「認知症」を発症しやすくなると考えられます」と奥村医師は警告している。