光で化学反応を起こす「光触媒」を発見し、2017年 に 文化勲章 を受賞しノーベル賞候補にも名前が挙がる藤嶋昭・東京大特別栄誉教授(元東京理科大学長)が8月末に、自ら育成した研究チームと共に中国の上海理工大に移籍してしまった。同大は今後、藤嶋氏を中心とした研究所を新設するという。財源不足などにより日本の研究環境が悪化する中で、産業競争力にも直結する応用分野のトップ研究者の中国移籍は、日本からのビッグな「頭脳流出」といえそうだ。上海理工大は、藤嶋氏の移籍について「我が校の人材確保事業における重要な成果であり、我が校の力量を強めるものだ。質量共に高い成果を生み出すことを期待し、全力で藤嶋氏とその研究チームの仕事を支えていく」との声明を発表した。2018年、スマホ販売で世界トップに躍り出たファーウェイの当時のCEO任正非氏が「ファーウェイのスマートフォンがここまで発展したのは、日本人を雇って研究開発し、日本の技術を採用したからだ」と語り、「日本の生産ラインを買ったのではなく、日本の頭脳を買ったのだ」と自慢したのが思い出される。「日本の頭脳を金で釣る」中国らしいやり方に、80歳にして文化勲章という名誉よりお金に目がくらんだ日本の老科学者、情けない限りである。