今や世界に認められる家電メーカーダイソン、その成功のキッカケを作ったのが日本のメーカーや消費者だったという事をご存知だろうか。英国のプロダクトデザイナー、ジェームズ・ダイソン(上の写真)が紙パックを使わないサイクロン方式の掃除機の開発を始めたのは1978年31歳の時だった。サイクロン掃除機を完成させた後も英国の電機メーカーから相手にもされず無収入の食うや食わずの生活が続く中で7年間の忍耐の末、彼を救ったのが日本のメーカーシルバー精工社だった。始めは訪問販売や通販で1台20万円台と高価だったのに日本の消費者がサイクロン方式の性能を認めて大ヒット、その収益をもとにその2年後、ダイソン氏は、英国での販売を開始して大成功を収めたのだ。「私は世に出せる製品を生むまでに5,127台もの試作品を作りました。つまり5,126回失敗したということです。一方でどの失敗からも学びがあったからこそ、解決案が見つかったとも言えるでしょう。だから“失敗すること”になんの抵抗もありません」そして日本の企業が初めて彼のサイクロン掃除機を認めてくれたことを振り返ってダイソン氏は「当時のことを考えると、とても温かい気持ちになります。私は1985年に初めて日本に来たのですが、来日当日に私が訪れた会社は、私が作った掃除機をすべて分解して、そのひとつひとつの部品について、すごく愛情を込めて語り始めたんです。そんな光景を、私はほかのどの国でも見たことがなかった。日本に来ると、いつも『モノを愛して、技術を理解している人たちの中にいる』と実感します」と語っている。