WBC世界タイルマッチの前日計量で、これまで15連続KO勝ちを収めてきたチャンピオン比嘉大吾が何と900グラムの規定体重オーバーで王座を剥奪されてしまった。師匠であるジムの具志堅用高会長は、「重大なことが起こってしまった。比嘉は汗が一滴も出ません」と減量の失敗を認めてマスコミに謝罪した。久々に登場した日本の22歳のハードパンチャーの将来を左右する手痛いミスはなぜ起きてしまったのか。比嘉選手の減量苦は昨年チャンピオンベルトを手にする前から有名だった。タイトル戦を前にして減量苦から「パニック障害」で救急車を呼ぶ騒ぎまで起こしている。今年2月の2度目の防衛戦でも脱水により足がしびれる異常状態に陥っていた。当初から比嘉選手がフライ級で戦うことは無理があることは誰もが承知していた。それを無視して無理な減量を続けさせていたのは誰あろう具志堅用高氏なのだ。「階級を上げるべきだ」という周囲のアドバイスに一切耳を貸さず「本人が食事の自己管理をすればやれる」とフライ級での続行を強行に指令していたという。具志堅氏は「私たちの時代は年に4試合は当たり前だった」と自分のハングリーな時代の減量方法を比嘉選手に押し付け続けたがそれが通用しなかった。あげくに自分と同じようにテレビのバラエティ番組に比嘉選手を引っ張り出すことまでしていた。ボクサーの基本はどうあるべきかをすっかり忘れてしまったバラエティータレント具志堅用高氏の責任は重いだろう。前途有望なハードパンチャー比嘉大吾の前途がいま危ぶまれているのだから。