アメリカの市場調査会社NPDが世界13カ国で行ったコーヒーショップで店内でゆっくり飲むか持ち帰りにするかの人数の割合を調査した結果が実に興味深い。国民性がゆったりとした印象があるイタリアやスペインではコーヒー持ち帰りの比率が全体のわずか3%、それに対して北米のカナダが43%、アメリカが45%そしてアジアの日本では48%と約半数近い来店者が店内で飲まずにコーヒーを持ち帰っていると言う結果が出た。つまり持ち帰り率で世界一に輝いたのが何と我が国日本という調査結果である。この結果をどう解釈すれば良いのだろうか。私見では、恐らく日本の場合は朝の忙しい通勤時間帯にコーヒーショップに立ち寄りコーヒーを買って出勤するという生活パターンがサラリーマンやOLに定着しているのがその理由なのかもしれない。お店でゆっくりとコーヒーを味わうという習慣が海外の国々に比べて我が国にはそもそも存在しないのだ。しかし、日本と似たり寄ったりの持ち帰り率のアメリカの結果を見ると、やはり日頃仕事に追われ続けて居る国ほど持ち帰り率が多いともいえるだろう。イタリアやスペインのように仕事よりもゆとりある時間を大切にするお国事情とひたすら国際競争の渦の中に身を晒している日本やアメリカとのお国事情の違いがはっきりと読み取れるこの調査結果は「面白うてやがて悲しき」ニッポンのサラリーマンの悲壮感漂う実態が見え隠れしているように思えてくる。