日本人は交渉力が弱いことで知られている国民だ。強欲であることを恥とする文化が根強く、特にお金については弱気な態度が顕著に表れがちだ。リクルート社が2020年に日本・アメリカ・フランス・デンマーク・中国で働くサラリーマン2500名を対象とし、個人と企業の交換関係について調査した「5カ国リレーション調査」というのがある。その中で、「入社時に会社と賃金交渉したか」という質問に対する回答を各国と比較した数字がある。日本人サラリーマンは、賃金について「要望した」のは約3割で、「要望しない」もしくは「わからない」が約7割だった。その一方で海外調査ではアメリカ、フランス、デンマーク、中国のサラリーマンは「要望した」が約7割で、「要望しない」もしくは「わからない」が約3割と日本とは真逆の結果だった。「会社から提示された額で合意した」と回答したのは日本が62.0%でトップ。次いでアメリカは28.0%、デンマークが24.8%だった。アメリカは「自分から希望額を伝え、それがかなった」との回答が31.9%でトップ。デンマークは「会社から額を提示された後に、自分の希望を伝え、それがかなった」が23.6%でもっとも多かった。「給料が上がらない」とただ嘆いているだけの日本のサラリーマン、海外のサラリーマンのように「賃金交渉力」を身につけなければ、いつまでたっても給料は上がらないだろう。