日本のクリスマスの定番となっている、ケンタッキーフライドチキンを食べる習慣。米国にはないこの習慣は、KFC(ケンタッキー・フライド・チキン)が1970年代から大々的に展開してきた宣伝キャンペーンによるものだ。KFCが、1974年から「クリスマスにはケンタッキー」の宣伝キャンペーンに乗り出し、パーティバーレルのセットメニューの販売を開始し、『ケンタッキーの我が家』をBGMにフライドチキンを楽しむ家族のCMによって、フライドチキンをクリスマスには、家族揃って食べるというイメージを日本国民に植え付けたのだ。米国で育った人なら誰でも、アメリカの音楽家スティーブン・フォスターが1852年に作曲したアメリカ民謡『ケンタッキーの我が家』が、クリスマスソングでないことは知っている。歌詞を見れば ♫懐かしきケンタッキーの我が家に太陽が輝く、この夏は、黒人達も楽しそうだ、トウモロコシも実り、草地も茂る、鳥たちは一日中歌を口ずさんでいる」とクリスマスとは真逆の夏の季節の歌だからだ。しかし、ケンタッキー=クリスマスのイメージは、このKFCのキャンペーンによって、まんまと日本人の間に浸透してゆき、「クリスマスにはケンタッキーを食べる」習慣が定着したというわけだ。アメリカ民謡「ケンタッキーの我が家」をクリスマスソングに見せかけ、アメリカには無い「クリスマスにフライドチキンを食べる」習慣を日本中に浸透させたKFCのアイデアは、実にアッパレと言えるだろう。