今月、世界最大の電子商取引企業である中国のアリババ創業者ジャック・マー(馬雲)が55歳で会長職を辞任した。米国の経済誌フォーブスが推定資産195億ドル(日本円で2兆1090億円)で中国でトップの大富豪に選んだ人物だ。彼が起こしたIT企業アリババの売上は、米国の通販大手であるアマゾンとeBay2社の売上合計を上回り、中国のGDP(国内総生産)の2%を占めている。そんなジャック・マー氏の人生は、劣等生としてのスタートだった。大学に入るための統一試験に2年続けて失敗して三輪自動車の運転手をしながら浪人し、3年後にようやく定員割れの師範学校に入学できたという。就職試験でも警察官に応募した5名の内マー氏だけが不合格、ケンタッキーフライドチキン北京支店に応募した24人の中でマー氏だけが不合格だった。彼が成功のキッカケを掴んだのは31歳の時にアメリカで出会ったインターネットだった。そして中国で初のインターネット商取引市場を開設したのが彼の成功の始まりだった。現在アリババは電子商取引のオンライン・マーケット を240あまりの国と地域で運営し6億人以上の会員のほか、5つの子会社を保有する巨大企業へと成長、売上で米ウォルマート、コストコ、仏カルフールを上回り、世界最大の小売企業・流通企業となったのだ。ジャック・マー氏は「ニセ物は本物より優れている」「世界は中国を怖れている」といった名ゼリフを残しているが、米国で出会った未来型ビジネスの電子商取引を中国に持ち込み、アメリカの本物を超える実績を残したジャック・マー氏の経営手腕は、まさに落ちこぼれからのリベンジと言えるだろう。