“Sing like talking” = 話すように歌う のは、JAZZヴォーカルの真髄だが、中でも名曲とされるGuess Who I Saw Today(ゲス・フー・アイ・ソウ・トゥディ)の話すように歌うその歌詞は秀逸だ。「今日は帰りが遅かったのね。雨が降ってきたの?わざわざ説明しなくてもいいわ。マティーニを作りましょうか?今夜は私もご一緒するわね。実を言うと私も今日はひどい目に遭ったの。今日、誰にあったと思う?街に買い物に出かけたの。一通り済んでお洒落なカフェ&バーがあるのを思い出した。ウェイターが暗い店内の隅の席に通してくれた。暗闇に目が慣れると、カウンター席の仲睦まじいカップルが目に飛び込んできた。誰だと思う?私はその二人を見て死ぬほどびっくりした。私はあわてて店から飛び出したけど二人はそんな私に全く気付いていなかった。今日、誰に会ったと思う?You!あなたよ!」。思い当たる節のある世の男達がこの歌を聴いたら震え上がるような歌詞だ。この「Guess Who I Saw Today」は、1950年代に公演されたブロードウェイミュージカル『New Faces Of 1952』の中で歌われたものだが、このミュージカルを見たジャズボーカリストのカーメン・マクレエ(⬆上写真)が気に入って唄い始め、ナンシー・ウィルソンやイージー・ゴーメなどが次々とカバー、ジャズヴォーカルのスタンダード曲になったのだ。Guess Who I Saw Today=今日、私、誰を見たと思う、語りかけるように歌うCarmen McRaeが歌のラストで悲痛に叫ぶ「You!」という怖い響きをYouTubeでぜひご視聴あれ(笑)