古くからのコトワザに「天に唾して己が面に掛かる」 というものがある。「天に向かって唾を吐けば、その唾は自分の顔に落ちてくることから、 他人を害しようとすると、かえって自身に災いが及ぶ」という意味だ。このコトワザにあるように、他人の悪口を言う人は不幸になるという根拠が、東フィンランド大学の研究チームによって科学的に証明された。人は、誰かの悪口を言うと、やる気や快楽に関与するホルモン「ドーパミン」が放出され、ドーパミンが出ると楽しい気分になるため、悪口を言うことを楽しいと感じてしまうのだという。さらに、ドーパミンは欲張りな脳内物質でもあり、一度放出されると「より大きな刺激」を求めるようになり、悪口の回数を増やしたり、より過激な悪口を言わないと、新たにドーパミンが出ず、楽しい気分になれなくなってしまう、という。つまり、悪口を言えば言うほど深みにはまってしまい、これはアルコール依存症や、薬物依存症と同じ原理で「悪口依存症」になってしまうのだと言う。しかし、悪口をいうと、ドパーミンと一緒にストレスホルモンであるコルチゾールも分泌され、コルチゾールは、ストレスを感じたときに放出されるホルモンで、悪口を言うたびに脳にはストレスがかかっている状態だという。ストレス発散のつもりの悪口が却ってストレスを増大させ、認知症のリスクが3倍、死亡率が1.4倍も高いという研究結果が報告されたのだ。「天に唾して己が面に掛かる」は本当だった。