韓国との歴史的な南北会談に応じた北朝鮮の金正恩委員長は屈強なボディガードに守られたドイツの高級車メルセデス・ベンツのリムジンで会談場所の板門店にやってきた。海外メディアは経済制裁真っ最中の北朝鮮がどうして防弾装備した最新型のメルセデス・ベンツの最高級車を手に入れたのかを大きな話題として取り上げた。核実験やミサイル発射を繰り返す北朝鮮への国連安保理決議によって経済制裁が実施され2006年以降は北朝鮮はドイツ車の輸入は出来ないはずだった。ドイツのダイムラー社は「15年以上、北朝鮮とは取引がなく国連決議を遵守している」とあわてて発表した。ドイツの大衆紙ビルト紙は「北朝鮮が制裁の網をかいくぐりドイツの高級車を輸入している」と報道したが、世界中が今回の南北会談を注視する中、正規の手続きを取らずに手に入れたベンツ車で堂々とやってきた金正恩。核廃絶の具体的なシナリオも示さずに空疎な南北朝鮮の融和を示しただけのそのしたたかぶり、具体的な核廃絶の話になれば金一族3代の常套手段でまた交渉のテーブルをひっくり返すに決まっている。いまだに金正恩の突然の態度豹変に疑いの目を向け続けているアメリカに対して、28日付けの北朝鮮の労働新聞は「米国の一部が我々の『戦略的決断』に対して被害妄想的に反応している」と批判した。「戦略的決断」このコトバの中にこそ、金正恩の本音が見え隠れしているのではないだろうか。