2か月半の沈黙を破って北朝鮮がミサイルを発射しまたまた日本海へ落下させた。北朝鮮の発表ではアメリカ全土を射程にできるICBM(大陸間弾道ミサイル)の実験であり、金正恩は「核武力完成の歴史的な大業を果たした」と語り、大喜びだという。では、射程距離がアメリカ本土まで届くこの長距離ミサイルをなぜ近距離の日本海に落下させたのか。そこにはアメリカを出来る限り刺激したくないという金正恩の慎重さが読み取れる。つまり日本海へのミサイル発射であればアメリカという虎の尾を踏んだことにはならないからだ。かって、中東の悪の枢軸とされたイラクのフセインがアメリカによって斬首されてしまったのは、隣国クェートに侵攻して占領してしまった紛れもない悪行を理由に攻撃されたためだ。金正恩は、フセインの二の舞とならないようにアメリカに攻撃の理由を作らせない慎重な戦略を選んで威嚇を繰返しているに過ぎない。日本海へのミサイル落下という現実に迷惑を感じているのは我が国日本だけだろう。今回のミサイルの日本海への落下に対してトランプ大統領の反応は「チビのロケットマンは病的だ」という短い言葉による非難だけだった。しかしながらこうした金正恩のコケ脅しはいつまで続くのだろうか。世界中を挙げての北朝鮮に対する経済制裁が効果を発揮するのはいつの事になるのやら。それまでの間、金正恩のアメリカの顔色を窺いながらの日本海へのミサイル落下がひんぱんに繰返されるとしたら、その狭間に居る日本人としては少々ウンザリした気分にさせられる。