ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

ジョブスに「ハングリーであれ、愚かであれ」を教えた発明家フラー。

2005年スタンフォード大学の卒業式で、アップル創業者ステーブ・ジョブズが卒業生たちに向けてスピーチした名言stay hungry、stay foolish(ハングリーであれ、愚かであれ)が、若い頃のジョブスをトリコにした「ホールアースカタログ」という本の最終号の巻末に載っていた言葉の引用であるというのは有名な話だ。この名言のオリジナルを発したのは、天才あるいは現代のレオナルド・ダビンチと言われた反面、「狂人」とも言われた発明家バックミンスター・フラー⬆だ。フラーは、工業デザイン・建築の分野で三輪自動車や工業化住宅などを次々発明したが、そのほとんどは実用化されず、また関わったほとんどの分野で厳しい批評に晒され、ユートピア主義者と無視された。しかし、52歳で球形のドームを「線」で構成する「ジオテック・ドーム」⬆の発明で世界に認められ、我が国の富士山山頂レーダードームやモントリオール万博アメリカ館にも採用された。フラーの残した名言を代表するのは何といっても「宇宙船地球号」だろう。多くの人々が地球の未来を語るとき引用するのがフラーのこの言葉だ。地球上の限りのある資源や、国と国との無用な戦争を批判し、地球をひとつの宇宙船にたとえて、人間だけでなく、動物や鳥、虫や植物など全ての生きものたちが、"地球"という名の宇宙船の乗組員の一人として行動することが必要だとフラーは訴えた。「ジオテック・ドーム」が世間から認められた52歳まで、ハングリーで愚かと揶揄される人生を過ごしたフラーは、成功した後、シカゴデザイン大学や南イリノイ大学で教鞭をとり、87歳でこの世を去った。