1952年にアメリカで制作されたミュージカル映画の傑作「雨に唄えば」、ジーン・ケリーが降りしきる雨の中で傘を片手に歌い踊る「雨に唄えば」のこのシーンは、この映画を象徴する名シーンとして有名だ。この有名なシーンについて、「一発撮りで撮影を終えた」「雨水には映りをよくするために牛乳が混ぜられた」などのエピソードが語られているが、実際には、このシーン撮影には3日かかり、バックライトの工夫によって雨は水のみでの撮影、ジーン・ケリーは、このシーンの撮影時39.4度の高熱を出していたにもかかわらず、演技をこなしたという。またこのとき雨として使用された水によって、彼が着用していたスーツは縮んでしまっていたそうだ。このスーツは、映画撮影から18年後の1970年に映画を制作したMGMが催したガレージセールで、衣装コレクターのジェリー・ソーラが衣装ラックを物色していた際、内側の胸ポケットにケリーの名前と製造番号が入ったMGMのラベルがついたスーツを偶然見つけ、1952年のミュージカルのあの有名な場面で着ていたものだと気付き、たった10ドル(約1000円)で購入したという。このスーツを発見したソーラは、このスーツを40年以上もクローゼットに大切に保管、2013年に米南部テキサス州ダラスで開催されたオークションに出品すると10万6250ドル(約1400万円)で落札された。落札されたスーツの内側には撮影でぬれた際の大きな染みが残っていたという。