ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

「引きこもり」からベルギーの紙幣になった画家アンソール。

20世紀美術のパイオニアとして高く評価され、表現主義シュルレアリスムの画家たちに影響を与えたベルギーを代表する画家ジェームズ・アンソール。長い生涯を独身で通したアンソールは、王立美術アカデミーを中退した20歳の頃からオーステンデの両親の家の屋根裏部屋にひきこもり孤独な絵画制作を10年以上に渡ってひたすら続けていた。彼の描く絵画は、仮面や悪魔や骸骨がケバケバしい色彩で描かれ(⬆上左)、自分自身を「神の子イエス」として描いている。アンソールが、仮面や骸骨を好んで描き、自らをキリストとして表現しているのは「引きこもり」に良く見られる「統合失調症」で病的な誇大妄想の典型な症例だ」という精神科医の指摘もある。アンソールが描く不気味な狂気を孕んだ異常な空気感を持つこれらの絵画作品は、彼が35歳の年にブリュッセル王立美術館が、作品を買い取ったのをきっかけに、続々と売れ始める。「引きこもり生活」15年後のことだった。当初は、画壇の異端児とされ、周囲からの無理解と嘲笑に晒されたアンソールであったが、43歳でナイトの称号、69歳でベルギー国王から男爵の称号、73歳でフランスからレジオン・ドヌール勲章を授かり、死後の1995年にはベルギーの100フラン紙幣にまでなる(⬆上右)など、いつしかベルギーを代表する画家となったのだ。余談だが、「引きこもり生活」を辞めた以降のアンソールの作品は、魅力に乏しくほとんど評価されていない。ジェームズ・アンソールの15年に及ぶ「引きこもり絵画」、Google「画像検索」でぜひご覧あれ(笑)