

高い学識や人徳そして深い信仰を持ち、「生き方」において他の人々の模範となる人物を「聖人」と呼ぶ。20世紀を代表する「聖人」といえば、学校の教科書でも学んだシュヴァイツァー(⬆️右)の名が思い浮かぶ。医療と伝道に生きることを志し、アフリカの赤道直下の国ガボンで現地住民への医療に生涯を捧げ20世紀のヒューマニストとして知られてる人物だ。教科書に出てくる「聖人」では、インドのイギリスからの独立運動を指揮し、「非暴力不服従」を提唱しインド独立の父として知られるマハトマ・ガンジー(⬆️左)も有名だ。しかし、1939年にアメリカで発行された著書『Three Trumpets Sound』の中で、「20世紀の三大聖人」としてマハトマ・ガンジー、アルベルト・シュバイツァーと並んで日本人の賀川豊彦(⬆️中央)が「三大聖人」の一人に選ばれている。日本では」あまり知られていない賀川豊彦とは一体どんな人物だったのか。熱心なクリスチャンであった彼は、若い頃から神戸の貧民街で生活し、弱者救済に身を捧げ、労働組合運動や農民運動をも主導し、関東大震災発生時には被災者救援活動に尽力した。さらに労働組合、生協、農協といった日本の「相互扶助」組織の基礎を築いた。また、彼の 著書『死線を越えて』は400万部を超えるベストセラーとなり、当時の社会問題を浮き彫りにする歴史的意義のある作品と評価され、ノーベル文学賞の日本人最初の候補にもなった人物だ。しかし、20世紀三大聖人の一人である賀川豊彦は、彼の思想の根本にあるクリスチャンであったことが、日本国内での「評価」が低く、欧米での「評価」の方が高い、という結果になってしまったのだ。