「パー券収入 脱法的隠ぺい 2500万円分不記載 岸田派など主要5派閥」、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が、こんな見出しで自民党主要派閥の政治資金パーティー券の不記載問題をスクープしたのは、2022年11月。このスクープを見た上脇博之神戸学院大学教授の告発によって検察が動き、自民党ぐるみの裏金づくりという組織的犯罪行為を暴きだし、世間を揺るがす一大疑獄事件に発展した。裏金スクープは、小さな疑問から始まった。通常、政治資金の募金のための自民党派閥パーティーでは食べ物が出る。新型コロナ大拡散(パンデミック)の当時は、食べ物が出てこないのに以前と同じようにパーティー券1枚当たり2万円を受け取っているのを疑問に思った「しんぶん赤旗」は、取材に乗り出した。総務省と都道府県所管の全国の政治団体約5万件の報告書を一つ一つ見て、パーティー券の購入内訳を調査。これを派閥が必ず書かなければならない政治資金収支報告書と比較した。4~5カ月かかる「気が遠くなるような作業」だったが、自民党の5派閥が2018~2020年の3年間で約2500万円の金を政治資金収支報告書に記載していないことを確認。「これは明白な政治資金法違反だ」と2022年11月6日、「しんぶん赤旗」は、この事実を暴露記事にした。今回の衆議院選挙で「裏金問題」が原因で過半数割れとなった自民党、その「引き金」を引いたのは、大手メディアではなく、小さな「しんぶん赤旗」の地道な調査によるスクープ記事だったのだ。