ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

「泣く子も黙った」ホーンのような唄声、サラ・ヴォーン。

ジャズ・ボーカルの歴史上ビリー・ホリデイエラ・フィッツジェラルドと並ぶ、女性ジャズ・ヴォーカリストビッグ3の一人サラ・ヴォーン⬆。ソプラノからコントラルトまで幅広いレンジに、美しいヴィブラートの掛かったオペラ歌手にも匹敵する幅広い声域と、豊かな声量の歌声は、「管楽器」のような歌声と評された。彼女が24歳で参加したトランペットの名手ビリー・エクスタインのバンドには、チャーリー・パーカーディジー・ガレスピーなど管楽器の名手が居並び、その演奏を聞きながら「ホーンのように唄おう」とサラは思いついたという。マイルス・デイヴィスも自叙伝の中で、サラ・ヴォーンについて「ホーンのような声で歌う偉大な歌手だ」と記している。彼女が歌った「ラヴァース・コンチェルト」は日本で大ヒットし、サラ・ヴォーンは何度か来日して いる。JAZZファンでもある骨董品鑑定家中島誠之助氏が、1980年代に来日したサラ・ヴォーンのステージで体験したエピソードが実に感動的だ。200人ほどの満員の観客の中で、ステージ開始直後に観客の中の赤ちゃんが突然泣き出した。コンサート会場に赤ちゃん連れとは何という非常識という会場全体の批判的な空気の中、サラは、ステージを降りて赤ちゃんの傍らに歩み寄り「バードランドの子守唄」をアカペラ(無伴奏)で歌って聞かせた。それを聞きながら泣き止んだ赤ちゃんが眠りにつくと、サラは何事も無かったかのようにステージへと戻り、観客に向かって唄い始めたという。「泣く子も黙るサラ・ヴォーン」の唄声、YouTube  でsarah vaughanと入力してぜひご視聴あれ。