少年期に去勢を施された朝鮮王朝時代の宦官⬆は、睾丸のある男性に比べて大幅に長生きしていたことが、2012年、韓国の仁荷大学(Inha University)のミン・ギョンジン教授の研究チームによる歴史資料の調査によって明らかになった。研究チームは、『養世系譜』という系図に記録されていた14世紀から20世紀初頭の宦官81人の寿命から割り出した平均寿命は70歳だった。次に、宦官よりも裕福な暮らしをしていた同時代の貴族の家系から男性の寿命を調べたところ、平均寿命は51~56歳で、宦官に比べて寿命が14~19年短かった という。その理由として考えられるのは、人間の男性の寿命を左右するのは、男性ホルモンの影響が大きいとされているからだ。現代科学では、動物実験によって去勢によってもっとも影響を受ける部位は、男性ホルモン受容体であることが明らかにされている。マウスを使った実験でマウスの組織を検査したところ、皮膚・腎臓・脳といった男性ホルモン受容体がある場所ほど、去勢後のDNA老化パターンに大きな変化が見られたという。反対に男性ホルモン受容体がないところでは、去勢による影響はほとんど見受けられなかったとか。少年期に去勢された宦官は、男性ホルモンの影響がまったく無くなるため長生きできたと考えられるのだ。「長生きしたいから去勢する」あなたの年ではもう手遅れです(笑)