長い経営難に苦しんでいた山形県鶴岡市の加茂水族館が村上龍男館長のアイデアで一風変わった「クラゲ展示日本一」を目指したのが22年前の1997年、当時クラゲを専門に展示する水族館は珍しく、来館者数もクラゲを展示する前に比べて徐々に増えていった。そんな中、2008年「オワンクラゲの発光物質」を発見したボストン大学名誉教授下村脩博士がノーベル賞受賞の知らせを聞いた村上館長は祝電と同時に「うちのオワンクラゲは残念ながら光りません」と手紙を書いたところすぐに米国の下村脩博士から国際電話が入った。村上龍男館長は驚き「ご本人で?」と念のため確認したという。下村博士は、水族館からの祝電へのお礼の後、「手紙では、おたくのオワンクラゲは光らないそうですね。セレンテラジンをエサに混ぜれば必ず光りますよ」と助言してくれた。水族館は早速、セレンテラジンを取り寄せ、水槽で実験を開始。餌に、海水に溶かしたセレンテラジンを注入して水槽に入れると、10分ほどでオワンクラゲの傘の周りが淡い緑色に発光した(⬆上の写真)。村上館長は「下村先生の言う通りにしたら、本当に発光した」と感動、その後「光るオワンクラゲ」は水族館一の人気者になり、その2年後に来館者数が21万人を突破、現在、加茂水族館は来館者数が100万人を超える全国一の「クラゲ水族館」として有名になっている。