一度聴いたら忘れられない、強烈な個性のしゃがれ声で大ヒット曲「ダンシング・オールナイト」を歌った⬆「もんたよしのり」さんが72歳で死去した。79年12月 -〜89年11月までの10年間オリコンチャートシングル売上ランキング第1位をキープし累計売上は200万枚を超える昭和を代表する名曲となったこの曲は、どういう経緯で生まれたのか。71年20歳で歌手としてソロデビューした「もんたよしのり」は、社会派のメッセージをブルースロックに乗せたナンバーで5年間でシングル4作、アルバム1作を発表するが鳴かず飛ばずで76年故郷・神戸に戻り実家のふとん店を手伝っていた。しかし歌手になることを諦めきれず77年26歳で再び上京、田園調布のボロアパートに2年間こもって何百と曲を作った。その中の1曲に「ダンシング・オールナイト」が入っていた。そしてチャンスは 1980年代の幕開けとともに訪れる。80年1月、バンド(もんた&ブラザーズ)を結成した29歳のもんたは、「最後のチャンス」として、書きためた曲の中から「ダンシング・オールナイト」をセレクト、同年4月21日にリリースした。大ヒットの理由のひとつになった独特のしゃがれ声についてもんたは「俺はもともと細くて高い声やった。声帯が弱いから、毎晩歌っていると声がかれてきた。そのうち、だんだん強いぶっとい声に変わっていったんや。R&Bシンガーのしゃがれ声にあこがれて、芦屋の海で大声で叫んだりもしてたしな」と語っている。そしてダンシング・オールナイトの大ヒットの理由についてもんたよしのりは、「時代に対して曲の力があったんかね」と2年間、曲作りに集中し「沈黙」を続けた成果について振り返った。彼独特のソウルフルなR&B 調の歌い方で大ヒット曲を生んだ「もんたよしのり」氏、ご冥福を祈りたい。