2斤で800円は当たり前。時には1000円を超え、普通の食パンの5倍以上の値段設定もある「高級食パン」が2年前に登場したが、あっという間にブームが終了したようだ。高級食パン店の“顔”的存在である「乃が美」でも、21年2月にオープンした三重県鈴鹿のお店が、1年ともたず昨年末で営業を終了している。突然に客離れが起きブームが去った理由について、食パンメーカー大手の専門家はこう解説している。「我々がスーパーなどで販売する食パンに比べて“ふわふわで甘い”というのが高級食パンの最大の売りだが。特別に良い原材料を使っているわけではなく、甘さも、バターや生クリーム、ハチミツを多く混ぜ込んで作っていて、まるで菓子パンのようなイメージに仕上げている。普通の食パンは生地をきちんと発酵させて作るため、時間が経っても硬くなりにくく、日持ちするパンができる。これに対して高級食パン店は、大半が『ストレート法』という方法で発酵時間が短くて済むが、美味しさのピークは作った当日限りで、次の日には味が落ちる。また、トーストするとあまり美味しくないため、“生”で食べるのを推奨している店が多いのはそれが理由」なのだとか。食パンの特長である日持ちすることやトーストしても美味しいという本来の製法を無視した高級食パンの作り方。ブームがあっという間に去ったのは「当然の帰結」と言えようか(笑)