明治安田総合研究所が配偶者の居る全国の50代〜60代の男女5,225人を対象に行なった調査によると、認知症でない健康な高齢の親の貯金や不動産などの財産管理に、子の77%が関わっていないという。オレオレ詐欺などのトラブルや金融商品の契約トラブルなどを回避するためには、子が親の財産管理に早めに関与することが本来的には望ましいのに、現実には、たとえ相手が子であっても自分の財産内容を知られることに抵抗感がある高齢者の親は少なくないようだ。自分で出来るうちは自分ですると考えている親も多いだろう。一方で、子供の側も親に財産管理を手伝うと言えば変にカン繰られてしまうのではと考えたり、そもそも面倒だという面もあるため、77%もの子供が高齢の親の財産を知らないままでいるという調査結果となったようだ。それでも、「お金の話をすることをタブー視する」親子意識の解消は、親が高齢者であればあるほど重要なことだろう。この調査で、親が認知症と判断される前に、後見人制度や家族信託制度を利用したいかを尋ねたところ、男性の50代後半で19.5% 60代前半で17.3% 60代後半で20.0%、女性では50代後半28.5% 60代前半28.8% 60代後半39.2%の人が「利用したい」と答えている。高齢の親が突然倒れても親の貯金を下ろして使えないという悲劇を未然に防ぐためにも、親の代わりに貯金を下ろせる信託銀行の代理人制度や第3者が財産を管理する「後見人制度」について、一度親と真剣に話し合っておく必要があるだろう。