1950年代後半、テレビやラジオで放送作家、司会者、俳優として脚光を浴び、その後参議院議員を4期24年間も努めた野末陳平氏87歳が、老体にムチ打って、参議院選挙に最後の出馬をすることを表明した。その理由は、最近話題の「老後2000万円問題」だという。「あの試算では、65歳の夫と60代の妻が30年間老後生活を送るというのがモデルとなっています。厚生年金は夫婦で約21万円という設定で、それに内閣府が試算した「普通の暮らし」での生活費では毎月5万円以上不足する。30年で2000万円というわけですが、そもそも老後の生活というのは、現役時の暮らしではなくて、レジャーや交際費は現役の時よりもかなり抑えている。医療費だって、自己負担限度額を超えた分が後で払い戻される高額医療制度があります。だから、2000万円ないと老後が赤字になるということにはならないのです」と野末氏は内閣府のデタラメぶりを指摘、「高齢者が心配しているのは、むしろ自分の子どもの世代、孫の世代の老後です。今後、高齢者が増えて、若い人の負担がどんどん大きくなっていきますが、若い世代の老後をいかに安全に保障させるのか、具体的に明らかにしていきたい。アメリカには退職者協会というのがあって、高齢者の権利を主張して政府に影響を与えている。日本の高齢者は個別にぶつぶつ言うだけで、まとまった意見とはなっていない。僕が出馬することで、シニア連合みたいなものができる雰囲気になったらいいなと考えています」87歳にして実に明晰に老後問題と取り組もうとするその姿勢、無事当選を果たせることを祈りたい。