上のグラフは2002年高齢者を対象に行なった「世界価値観調査」で社会的に孤立していると感じる人の割合を示した数値だが、欧米人に比べて日本人の「孤独度」は断トツの世界1位であることがわかった。この数字を見ると「孤独な老人を何とかしてあげよう」というような余計なお節介話がすぐに出て来るが、日本人で孤独に生活している人は果たして「孤独」=「不幸」と考えているものだろうか?イギリスでは国を挙げて老人の「孤独度」を解消しようと政府内に「孤独担当大臣」という制度をつくったというが、日本のご老人たちは自分の「ぼっち生活」を国の力で救済してほしいと望んで居るものだろうか?西洋では「孤独」で居ることを罪であると考えてしまうのはキリスト教の文化のせいなのではなかろうか。聖書の教えに「自分を孤立させる者は利己的な願望を追い求めるから」だと記されている。しかし、日本には古くから「人間は本来孤独な生き物である」という考え方がある。鎌倉時代の高僧一遍上人が「孤独なるを死するとはいうなり、生せしも独りなり、死するも独りなり、されば人と共に住するも独りなり、添い果つべき人なき故なり」と人は生まれてから死ぬまで「孤独な生き物」であることを自覚しながら生きなさい、と説いている。欧米の人々は我が国の「お一人様」や「ぼっち」という当たり前の文化習慣に目を丸くするが、「孤独」であることが「善」であると捉えているニッポン人は、これからも「世界の孤独度ランキング」でNo.1であり続けることは実は誇らしい事なのだと言えないだろうか。