国内に1089店舗、海外にも国内の半分に迫る464店舗を運営しているイタリアンファミリーレストランの「サイゼリヤ」。来日するイタリア人からも「本場の味以上」と評判だが、サイゼリヤ創業者の正垣泰彦会長は、著書『サイゼリヤの法則』の中で「私は大真面目に、本気で「サイゼリヤの料理は、まずくて高い」「あんなまずいものを出してしまって、お客様に申し訳ない、と言っています⬆。その気持ちに嘘も偽りもありません。『サイゼリヤの料理は最高だ!安くておいしくて申し分がない』もし私がそう言い出したらどうなると思いますか?サイゼリヤの従業員は「もう努力しなくていいんだ」と、気を抜いてしまうでしょう。本来なら、価格も味も日進月歩で進化していくべきですが、現状維持すらできなくなってしまうかもしれません。人とは本当に不思議なもので、どんなに能力が高くて優秀な人でも、努力をやめた途端に劣化・衰退してしまう性質があります。私自身が、そしてサイゼリヤの従業員みんなが、今のメニューについて「まずくて高い」と捉えているからこそ、より安くておいしい方向へ、人のために、お客様のためになる方向へと、少しずつでも向かっていけるのです」。社員の努力を尊重しつつわざと反対意見を述べる=アンチテーゼ(弁証法)によって美味しい料理メニューを考えさせる、さすが東京理科大学物理学科の学生時代にサイゼリアを創業した正垣泰彦会長ならではの「経営哲学」と言えるだろう。