ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

フェルメールの青、なぜ金より高いラピスラズリで描いたか。

フェルメールは、同じオランダレンブラントイタリアカラヴァッジョフランドルルーベンスなどとともに、バロック絵画を代表する画家であり、レンブラントと並んで17世紀オランダ黄金時代を代表する画家でもある。フェルメールの代表的な作品「真珠の耳飾りの少女」⬆は、2003年に英国で映画化され、日本ではTVCMにも使われるほどの人気のある作品だ。この作品を特徴づける少女が頭に巻いているターバンの鮮やかで気品のあるブルーが一番目につくが、これがいわゆる「フェルメール・ブルー」と呼ばれる色だ。フェルメールは、1665年当時、値段が金より高い価格で取引された青金石ラピスラズリを顔料にした青色ウルトラマリンを惜しげもなく使ってこの絵を描いている。多額の借金を残して死んだ父親のパブ兼宿屋を継いだフェルメールは、どこから高価なウルトラマリンを買う資金を調達したのか。その理由は結婚した妻の義母が裕福だったためだった。当時の画家たちが使いたくても使えなかったウルトラマリンのブルーをふんだんに使うことで、見る者の視点を画面に集中させ、画面に気品を漂わせる「フェルメール・ブルー」。彼の代表作である「真珠の耳飾りの少女」では、窓から差し込む光を反射して少女の髪や耳飾りが輝き、明るいブルーのターバンがよりいっそう少女の存在感を引き立てる。高価なウルトラマリンの「ブルー」のおかげで画家としての名声を勝ち得たフェルメールだったが、1672年、オランダがフランス軍に国土の大部分を占領され、パトロンの義母の死去も重なって作品も売れなくなり、オランダのデルフトで1675年、失意のうちに42歳で亡くなった。