ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

サルバドール・ダリ「溶けてゆく時計」なぜ思いついた。

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スペインが生んだ20世紀を代表するシュルレアリスム(超現実主義)の画家サルバドール・ダリ。ダリの最も有名で代表的な作品といえば、溶けて柔らかくなった時計が描かれた「記憶の固執」という作品(⬆上右図)だろう。固いはずの時計が溶けて柔らかくなるというシュルレアリスム(超現実)な「発想」を、ダリはどうやって思いついたのだろうか。1931年のある晩、27歳のダリは友人たちを自宅に招き食事をし、そのあと妻のガラと友人たちが映画を見るために外出した。家にひとり残ったダリは、皿の上に残された溶けかけたカマンベールチーズの「柔らかさ」について考えていた。そして寝ようとして明かりを消した瞬間に「時間が停止する瞬間=死」と「溶けていくカマンベールチーズ」とが重なって見え、時間の停止=時計が溶けてゆくという「発想」が思い浮かんだという。ダリは 寝る間を惜しんで、描きかけの風景画にイメージとして浮かんだ「溶ける時計」を描き加え、2時間後に妻のガラが戻って来たときにはこの絵は完成したという。時計が溶けて時間が止まってしまっているのは、ダリ独自の死を暗示する表現だ。ダリが生まれる前に、同じダリの名前を持つ兄が亡くなっている。両親は亡くなった兄の生まれ変わりとして再びダリと命名し育てた。ダリにはそれがまるで自分が 死んだ人間の生き返りであるかのような錯覚に陥り、絶えず死への恐怖に怯え続ける少年時代を過ごしていたという。そうしたダリの心の反映が、死への怯え=溶けてゆく時計というシュールな「発想」を生みだしたと言えるだろう。