スーパーコンピューター性能ランキングで日本の新型機「富岳」が世界一になった。これを受けて立憲民主党の蓮舫副代表が「文部科学省も理化学研究所も、前向きな改革に取り組んで来られた努力に敬意を表する」というコメントを発表した。蓮舫議員といえば10年前の2009年11月の国会で次世代スーパーコンピューター開発が俎上に上り、文部科学省や理化学研究所の担当者らが「世界一を取ることで(国民に)夢を与えるのが、プロジェクトの目的の一つ」と大型の開発予算を要求すると、蓮舫議員が「世界一になる理由は何があるんでしょうか?」「2位じゃダメなんでしょうか?」とスパコン開発予算を削ろうとした経緯があった。10年前頃の日本といえば、リーマンショック(2008年9月)、日経平均株価がバブル崩壊後の最安値記録(2009年3月)さらにGDP(国内総生産)が中国に抜かれて世界第3位に落ちてしまった頃だ。景気の衰えが見え始めたその頃の日本にとって、「2位じゃダメなんでしょうか」という蓮舫議員の発言は新鮮なインパクトが有り、日本が何でも世界一を目指さなくて良いのでは、という1つの方向性を示したキーワードとして多くの日本人がうなずいた。しかし、かつて世界一の座にあった日本の半導体産業が一気に凋落してしまったのは、大型設備投資を断行しない勇気の無さと、資本力の喪失に大きな原因があった。要するに投資することを止めればすべては終わりなのだ。今回のスパコン世界一を獲った「富岳」は政府と民間を合わせて約1300億円を投じたビッグプロジェクトだった。「2位じゃダメなんでしょうか」と予算をケチっていたら恐らく世界一の座は取れなかったに違いない。