新型コロナウイルスによる肺炎が全国的に広がっている中国で、2020年2月4日に新型肺炎と診断された浙江省の男性が、「野菜売り場で買い物をしている15秒の間に感染した」と、人民日報など中国の主要メディアが一斉に「マスクを付けないで買い物に出かけた男性、15秒で感染」と報道した。 浙江省寧波市の衛生当局は、感染に至る経路を特定するため、男性の発症前の行動と、近隣で既に発症した人の行動を(監視カメラのリレー追跡によって)照合。その結果、男性が1月23日午前7時47分に近所の野菜売り場で買い物をしたときに、男性より先に新型肺炎の確定診断を受けている61歳女性と、15秒ほど近くにいたことが判明したのだという。当局は、男性がこの61歳女性から感染したとは断定していないが、唯一の感染者との接点がこの野菜売り場であり、その接近時間はわずか15秒だったとして紹介。さらに男性が1月23日以降に立ち寄った店舗も全て公開した上で、「全ての市民は公共の場に行くときは絶対マスクをつけるようにと呼びかけた。この報道を聞いて思わず戦慄が走った。その理由は、わずか15秒間の接近でコロナウィルスに感染したことよりも、当局側がこの男性の1月23日〜2月4日までの13日間の行動の詳細を把握できたことだ。中国は国内に1.7億台あると言われる監視カメラをすべてネットワーク化し、人工知能を用いて、個人の特定、行動監視 できる「天網」という監視カメラシステムがあるという話は聞いていたが、今回のコロナウィルス感染者の行動監視でそれが事実であることが分かったいうわけだ。コロナウィルスより怖い市民の自由な発言を許さない独裁国家、一党独裁の中国政府が、我々の想像以上に一般市民の行動を多くのカメラを使って監視し続けている日常に恐怖を憶えたニュースだった。