テレビによく登場する老舗のご主人が「当店は江戸時代からの秘伝のタレを継ぎ足しながら伝統の味を保っています」という決めゼリフ。最近では「秘伝のタレ」は1ヶ月ぐらいで新しいタレに入れ替わってしまっている、という「新常識」がはびこっていて、テレビのレポーターが老舗のご主人を「1ヶ月で新しいタレに入れ替わってしまう」説で詰め寄って困らせるシーンをよく見かける。果たして「秘伝のタレ」はわずか1ヶ月で全く新しいタレに入れ替わってしまうものだろうか?と思ったらその原理を実際に実験した写真をグーグル画像で見つけた。上の写真の左側、黄色い液が継ぎ足しするタレで、青い液の方が昔ながらの秘伝のタレとみなした実験だ。黄色い液を毎日1mlづつ青い液(こちらは毎日1mlづつ減らす)に継ぎ足すと青い液は500日後に緑色の液に変色する(⬆右側の写真)。つまり、秘伝のタレ(青い液に)継ぎ足し継ぎ足しを1年5ヶ月もの間くり返してもまったく新しいタレ(黄色い液)にはならなかったという証明写真だ。確かに数学的には「秘伝のタレ」は1ヶ月後に新しいタレに入れ替わってしまうという計算が成り立つだろうが、それはあくまで理論上のことで現実には「そんな事はない」ことを1年5ヶ月ものあいだ緑色を保ったこの液体が見事に証明しているではないか。物事にはグレーゾーン(あいまいな領域)というのが付き物だ。秘伝のタレを科学的に分析することよりも老舗のお店で、いま食べている味が「江戸時代からの伝統のタレ」を味わっているんだ、と信じることのほうが「幸せな気分」になれる、そうは思いませんか(笑)