昨年のワールドシリーズを制覇したカブスの名将マドン監督は、現在カブスの配下選手となった上原浩治投手とはかって敵味方として戦っていた間柄である。その当時を振り返ってマドン監督は上原浩治のピッチングについての印象をこう語っている。「上原が私のチーム相手に登板することは嫌いでは無かった、というよりむしろ憎んでいたという感じだよ。」「彼は打者の(ストライクゾーン)ギリギリの所に高めのボールを投げてくる。すごくフラストレーションが溜ったものだ」カブスに入団した上原を「いまはすぐ近くで彼を注視できる。球速は落ちたけど打者を眩惑させることが良くわかる。」「彼は大舞台に慣れていて萎縮したりしない、ビビったりもしない、我々にとって(上原の獲得は)素晴らしい選択肢だった。」とベタ褒めしている。マドン監督の言葉通り新チームカブスに移籍してからも上原は相変わらず「打者を眩惑する投球」を続けている。「握りはスプリットなのに投げ方はファーストボール(直球)、打者から逃げるように曲がりながら落ちる」と言う恐怖のスプリットと評されるボールや「140キロと遅いスピードなのにキャッチャーのミットからはみ出すほどの回転数がある」というファーストボール(直球)など、メジャーの強打者たちがかって見たことの無い上原の魔球は42歳を越えて未だにまったく衰えを知らない。世界一の野球監督さえ憎み続けたその投球術を駆使してこれから先もメジャーの強打者たちをさらに翻弄し続けてもらいたい。