ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

ニッポンが、スマホや宇宙開発でパーツしか作れない理由。

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今年の年末を期限とした人類初の「月面無人探査」の国際レースが開催される。厳しい審査で選ばれたアメリカ・日本・イスラエル・インド・国際連合の5チームによるこのレースで優勝が予想されているのが日本のHakuto。このチームを率いるのは日本の月面探査車開発の第一人者東北大学の吉田和哉教授(上の写真)だ。教授は月面探査に他の国々より優れたホイール(車輪)を開発し優勝に自信満々で臨むという。国際的に知られる吉田教授のもとには海外からも多くの学生が研究者として参加し日本の学生たちと技術開発を競っていると言う。その姿を見て教授が面白い事実に気付いた。「日本の学生の考え方はワクにはまろうとする、これに比べて海外から来た学生たちはワクのことなどまったく気にせず自由奔放にやるというスタンスなのです」「日本人はワクにはまるのが上手いから部品開発には向いている」「宇宙船の開発には、全体を構築するインテグレータとしての能力が必要だが、日本の技術者が部品供給だけに甘んじているのはワクにはまったままの考え方だからだ」というのが教授の指摘なのだ。たしかに、世界のスマホを二分するアップルとサムスンのパーツ(部品)は8割以上が日本製だ。日本の部品供給なしでは世の中にスマホは存在しないというのも決してオーバーな表現ではないだろう。しかし、宇宙開発もスマホも日本がトップに立てないのは「木を見て山を見ず」の例え通り小さなワクを取り払って開発プロジェクト全体を構築できる人材がいないという事ではないのだろうか。かっての「技術立国ニッポン」はいま「部品供給ニッポン」へと成り下がってしまっている。その理由として考えられるのは、吉田教授が言うように日本の技術者たちがワクにはまったままの思考しか出来ずシステム全体を見ようとしない事が、その一因では無いだろうか。