世界史に永遠に残るであろうキューバ革命の英雄フィデル・カストロがきょう90歳で亡くなった。革命の最初の戦いで捕虜となり死刑は免れたが投獄され、その獄中で書いた「歴史は私を無罪とするだろう」という本のこのタイトルは彼の名言のひとつとして有名だ。アメリカの喉元にある小国でありながら革命達成後は「キューバの土地はキューバ人に」とアメリカが所有していたキューバの土地をすべて没収しキューバ国民に分け与えた。これによってアメリカとの国交も断絶、当時の大国ソビエトと手を組んでそれまでアメリカ頼りだった経済を自らの手で立て直し、教育にも力を入れて国民の識字率は95%を超え世界トップクラス、医師の数や医療技術でも世界のトップレベルにあることは衆知の事だ。「人間にとってもっとも重要な資本は金では無い、人間そのものが最大の資本なのだ」という彼の名言通りの政治を50年に渡って行ったのである。日本へも2003年77歳の時に来訪し、カストロ氏本人の強い希望でヒロシマを訪問、「人類は未だにヒロシマから教訓を学び取れていない」「核兵器より強いのは人間の勇気だ」という日本人の耳には痛い名言を残して去った。カストロには世にいう独裁者の傲慢さは微塵も無く、自分の肖像画や銅像を作ることを一切禁じていた。世界はまたひとり歴史に残る英雄を失った。