ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

「長生きするより腰ミノ生活」、漫画家ヤマザキマリの人生論。

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古代ローマをモチーフにしたギャグ漫画『テルマエ・ロマエ』の作者であるヤマザキマリさん。イタリア・フィレンツェ在住時に出会ったイタリア人詩人と結婚せずに息子を生み、しばらくして年下のイタリア人と結婚して彼の実家に渡り、その後は研究者である彼の仕事の関係で世界のあちこちに移り住んできたという、人生を文字通り国際人として生き抜いてきた日本女性だ。そんな彼女が、80代で認知症になった母親を病院に見舞いに行く。札幌交響楽団のヴィオラ奏者であった母親(⬆上写真右)は「ステージ衣装をまとって楽器を奏で、北海道中を車で巡って音楽の素晴らしさを教え、ともすれば充実した豊かな生活に見えたかもしれない。 けれども家族は、外国人の夫も含めて、彼女の、雑木林を切り拓く開拓者のようなガッツに満ちた本質をよく知っています。開拓者にとって、身体が弱って動けなくなることは一番あってはならないですよね」と想う。「お見舞いに行って喜ぶ母親を見てイタリア人の夫が『リョウコ(お母さん)はやっと、硬くて重たい甲冑から解放された感じだね』と言ったのです。歴史的にみても、人間は50歳くらいで歯が抜けて食べられなくなり、胃腸を壊して死ぬというてん末があたりまえでした。それが今は歯を治療し、医者にかかり、脳にガタがくるまで長生きする。昔のほうが自然の摂理にかなっているわけですよ。 今は健康寿命が大切だの、100歳まで生きると前提した人生設計だのと、日本人は大変な努力をしていますよね。私に言わせれば、それこそが甲冑であり鎧です。私は、そんな重いものじゃなくて、なんなら身軽な腰ミノで過ごすほうがいい(笑)そこまで長生きにはこだわりません。認知症だろうが心臓発作だろうが、どういう終末を迎えるかは私たちに決められることじゃないですから」。国際人漫画家ヤマザキマリさんらしい「達観」した人生観と言えるだろう。