人類が初めて空を飛んだのは1903年のライト兄弟による初飛行だと言うのが一般常識だが、正確には、2つの点で異論がある。一つ目はライト兄弟から120年前の1783年11月21日にフランスのモンゴルフィエ兄弟が作った熱気球に2人が乗り込みブローニュの森を飛び立って90mの高さで25分間8.8kmの距離を飛んだのが人類初の空を飛んだ記録だという説。しかしこれはライト兄弟が現代の飛行機と同じエンジン動力による初飛行だったのに気流まかせの初飛行なので比較の対象にはならないとされている。しかし、エンジン動力で初めて空を飛んだのも実はライト兄弟ではなくグスタープ・ホワイトヘッド(⬆上の写真で子供を抱いた右端に座る人物)だという説が今日では有力になっている。ライト兄弟がノースカロライナ州キティホークで初飛行に成功する2年以上前、1901年8月14日コネティカット州フェアフィールドで、ホワイトヘッドがエンジン付きの飛行機に乗って800mの距離を高度15mで飛行したという。飛行中の写真は残されていないが現場に居たディック・ハウエルによって宙に浮いた機体のスケッチが残されている。しかしホワイトヘッドの飛行は残念ながらきちんとした記録が一度も取られておらず、写真も残っていない。そのためこれら沢山の報告を実証することは非常に困難だ。しかしホワイトヘッドの初飛行の舞台コネティカット州議会はホワイトヘッドの主張を人類初の飛行だと公式に認定している。また航空機の歴史を記録した「ジェーン年鑑」にも、人類初の飛行はホワイトヘッドと記載されている。ホワイトヘッドの飛行がライト兄弟より先だったと言う有力な説について、ある目撃者から「ライト兄弟はホワイトヘッドを訪ねてきてエンジンの購入について話し合い、そして飛行に関する着想と発見を交換していた」と言う証言が残されているためだ。