「みんなまあるくタケモトピアノォ〜」「ピアノ売ってチョ〜ダイ」20年以上変わらないこのCMは誰もが一度は目にしているはずだ。大阪のピアノ買取専門の会社タケモトピアノのこのCMソングを耳にすると赤ちゃんがすぐに泣き止むというエピソードまで生まれている。15秒のCMを制作すると1本あたりでタレントへのギャラを含めて数千万円かかるというのが現在の常識だが、自動車やビール会社や化粧品など大手メーカーは季節ごとに高額なタレントギャラやCM制作費を使ってどんどん新しいCMに作り変えてテレビで流すのが常識なのにタケモトピアノはギャラの安い85歳のタレント財津一郎さんを使い、しかも1度制作したきりのCMを20年以上使い回ししているのだからそのコストパフォーマンス(費用対効果)は驚くほど安上がりだ。さらに1年前のテレビ番組内でマツコがタケモトピアノについて「テレビ業界も助けられているのよ」「CMが埋まらなかったときに頼みに行くと『お!そうか!』ってスグにCMをだしてくれるのよ、タケモトさんは!」とその気前の良さについて語ったが、CM界にかつて身を置いていた私から見れば、こんな安上がりに番組提供をしているなんてさすがはタケモトピアノと実に感心させられるのだ。つまり、CMが埋まらないままでテレビ局は番組を放映することなぞあり得ない、恐らくは他のスポンサーの番組提供金額の半額以下のディスカウント料金で売れ残ったCM枠を買っているはずと推測できる。年商50億円でCMに使えるお金はわずか数億円、なのに3,000億円〜4,000億円をTVCMに平気で使っている日本のトップ企業と肩を並べて「誰でも知っているタケモトピアノ」にまで知名度を上げたタケモト会長さん(⬆上の写真)は、「ドケチ」精神を貫いて見事に成功して見せた大阪商人と言えるだろう。