反捕鯨を掲げて日本の捕鯨船に体当たりしてクジラの保護を訴え続けてきた海洋環境保護団体シーシェパード。普通の環境保護団体と違って、実力行使によって捕鯨を妨害すると言う過激な手段を用いることで一躍世界中の注目を集めてきた。捕鯨船に対抗できる高速船を複数所有し監視用のヘリコプターまで所有しているこの団体。その膨大な活動資金は捕鯨に反対する企業や個人の寄付で集められた。シー・シェパードを支援する企業にはアディダスやコカコーラ、パタゴニア、個人ではミック・ジャガーやスティーブン・セガールなど「クジラを守ろう」という多くの企業や有名人が参加しているのだ。そのシー・シェパードが8月28日に「日本の捕鯨船への抗議活動を中止する」という声明をだしたのには驚かされた。突然のシーシェパードの日本捕鯨への敗北宣言。その理由は何なのだろうか。シー・シェパード生みの親のポール・ワトソン氏は「日本の捕鯨船団は軍事偵察を動員し、衛星を使ってシー・シェパードの船の動きをリアルタイムで監視するようになった」と述べ、「妨害活動はほぼ不可能になった、軍用クラスの技術とは競争できない」と妨害活動の中止を泣く泣く宣言したのだ。環境保護のために、捕鯨活動を実力で阻止するというあらたな抗議活動のトビラを開いて見せたシー・シェパードが技術大国ニッポンの前に敗北宣言したことに、クジラの肉を食べなくなっている多くの日本人は複雑な思いを禁じ得ないだろう。