中国の南京大虐殺は中国によるでっち上げだと言う論文を掲載したAPAホテルが客室内に設置した冊子をめぐって中国側がAPAホテルへの批判を強める中で、こともあろうにAPAホテルグループ代表の元谷外志男氏が冊子の増刷を発表した。マスコミ報道で冊子への関心が高まり購入希望者が増えたために増刷を決定したのだと言う。また、元谷氏が主宰する私塾での講演で「冊子を撤去したら相手(中国)に屈服するという突破口を与えてしまうことになる」とあらためて冊子撤去の意思が無いことを強調し、さらには、「人のウワサも75日、3か月も経てば皆が忘れて(今回の騒動で)知名度も上がりマイナスもカバーできる」と堂々と言ってのけたのである。今時には珍しい気骨のあるホテル経営者元谷氏は藤誠志というペンネームを持ち自らを異端児と称して過去の歴史を豊富な史料をもとに独自の視点で掘り起し続ける本物のインテリ(知識人)である。だから、中国が冊子を批判しだした際にも、何の知識も持たない根拠のない言いがかりなどまったく気にせず「言論の自由の尊さ」を中国人に向けて説いたのである。現在のところ日本政府は民間企業のしたことに政府として圧力はかけないと言っているが、中国政府がさらに攻勢を強めてきた場合どう出るかはわからない。元谷氏がそういう圧力に簡単に屈するとは思いたくないが、安倍晋三後援会の副会長をも務める元谷氏は「譲歩すること」を求められるかも知れない。しかし今どきの日本人には珍しい元谷氏の気骨のある主張に政府はむしろ喝采を送るべきだろう。中国には存在しない「言論の自由」を守りぬくために。