ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

ルソーの絵を古物商から1000円で手に入れたピカソの審美眼。

熱帯のジャングルをテーマにしたエキゾチックな抽象画  (⬆右)で知られフランスを代表する近代絵画の巨匠であるアンリ・ルソー。パリ市の税関の職員を務め、仕事の余暇に絵を描きサロンへ出品しても落選続きで審査のないアンデパンダン展に出品を続けていたまったく無名の画家だった。その彼が一躍世間の注目を集めたのは現代抽象画の先駆者パブロ・ピカソに64歳の時に見出されたのがキッカケだった。1908年、当時27歳のピカソがパリの古物商でルソーの作品『女性の肖像』(⬆上左)に目を奪われわずか5フラン(1000円以下)でこの絵を購入した(現在この絵の価値は2億円以上)。その後、ピカソが中心となって、パリのアパート形式のアトリエ「洗濯船」で「アンリ・ルソーを讃える宴」という会を開催。当時モンマルトルを拠点としていた多くの画家詩人がルソーを囲んで集まり、彼を称える詩が披露されたことで、アンリ・ルソーはパリの画壇で一躍注目される存在になれたのだ。当時64歳になっていたルソーについて、ピカソは「あなたと僕は二大画家だ。あなたはエジプト様式で、僕は現代の様式で」とルソーを芸術家としてリスペクトする言葉を贈っている。遠近感の無い不思議な空気感と美しい色彩で描かれたアンリ・ルソーの作品は、南国へ一度も行ったことのない彼が、パリの植物園でスケッチしたさまざまな植物を組み合わせて幻想的な風景に作り上げたものだ。ピカソが見出した64歳の老画家アンリ・ルソーの絵画作品、グーグル画像で、ぜひご鑑賞あれ。