昨年12月スーパーバンタム級２団体統一王者のタパレスをKOして、バンタム級・スーパーバンタム級の２階級で４団体統一を成し遂げたモンスター井上尚弥。タパレスは試合直後に敗因として「イノウエのスピードに負けた」と語っていたが、母国フィリッピンに帰国し、『Playitright TV』に出演、試合を決定づけた10ラウンドのダウンシーン⬆を次のように振り返っている。「10ラウンドの場面はパンチがハッキリと見えていたので、自分が倒れるとは思っていなかった。瞬間的に打たれると分かっていたし、それほど強くも感じなかった。でも、直後に本当に身体が動かなくなったんだ。なぜかは分からないけど、めまいがしたから、自分の感覚を確かめた。でも、どうしても立てなかったんだ」。見えてたパンチが当たったのに体が動かない、つまりタパレスはキャンパスに倒れ「金縛り」の状態になったというのだ。そう言えば２年前に井上に２RKOされたWBCバンタム級王者のドネアが試合後、自身のSNSで配信した言葉を思い出した。井上の右ストレートが当たった瞬間、ドネアは「何が起きたのか分からなかった。私はカウンターを狙っていたのに、キャンバスに倒れていた。そしたら審判がカウントしているんだ。 『マジか！ 俺はやられたのか』と思ったよ」と振り返っている。なぜ、井上尚弥のKOパンチを受けるとドネアもタパレスも意識が飛んでしまったのか。井上自身が言うには、それはパンチの「キレ」にあるのだという。「キレ」のあるパンチとは、相手の急所をただ打つパンチではなく相手の急所の「奥にまで」衝撃を加えるパンチという意味だ。「奥にまで」届く「キレ」の良いパンチは、相手の意識（神経）まで麻痺させてしまう、やはり井上尚弥は、モンスターなのだ。
