WBC決勝戦、侍ジャパンがメジャー軍団の米国と3−2とわずか1点差のリードで迎えた9回表、マウンドに上ったのは日本が誇るスーパースター大谷翔平投手(⬆左)だった。大谷投手が対する相手は、ジェフ・マクニール外野手、ムーキー・ベッツ外野手、そしてMVP3度受賞のメジャー屈指の強打者で大谷選手の同僚でもあるマイク・トラウト外野手(⬆右)だ。これほど出来すぎた筋書きのドラマのシナリオは無いだろう。この時点で、大谷が3人目の打者の同僚トラウトを三振に切って取り、ゲームセットになる展開は誰にでも予想が付いた。ところが大谷は、先頭打者のジェフ・マクニールにコントロールが定まらず四球を与えてしまう。それでもなお、強運の大谷が次の打者にゴロを打たせてゲッツーを取るだろうという予想はあった。案の定、ムーキー・ベッツはゲッツーが取りやすいセカンドゴロに倒れ一瞬にして2アウト、そして、アウトカウントあとひとつの場面でMLBファンも日本のファンも待ち望んだ強打者トラウトと大谷翔平の一騎打ちが実現したのだ。恐らくこの勝負はフェンスギリギリのフライをレフトを守るヌートバー選手がスーパーキャッチして試合終了になると予想されたが、フルカウント3−2からの最後の一球をトラウト選手が空振りして、あっけないゲームセットとなった。神様の台本通りに「翔タイム」を演じきった日本のスーパースター大谷翔平、試合後、米国のデローサ監督は、9回表に登場した大谷のピッチングについて「台本があるかのような試合展開だった」と敗戦の弁をつぶやいた。