アメリカの「お笑い」といえばスタンダップコメディー、中でも「自虐ネタ」はアメリカ人に大いに受ける。いま、アメリカで人気のスタンダップコメディアンSaku Yanagawa⬆は、奈良県生まれ大阪大学卒の生粋の日本人柳川朔(30)だ。その彼の持ちネタに広島・長崎への原爆投下をジョークにしたものがある。「米国で野球を見に行ったとき、招待された退役軍人が「ヒーローの〇〇さん」とアナウンスされると、観客は起立して拍手しますが(日本人の)僕はどうすべきか複雑な気持ちになりました。でも、無礼はしたくない──。で、僕は立ち上がって2回拍手しました。パン、パンと。爆弾1発ずつに」。この広島・長崎への2発の原爆投下をネタにしたジョークにアメリカ人は大笑いするのだ。アメリカの大手民間調査機関ピュー・リサーチ・センターが2015年に行った世論調査によると、アメリカ人の56%が広島・長崎への原爆投下を77年経った現在でも、「正当」だったと答えている。「不当」と思ったアメリカ人の数は34%にとどまった。しかし、日米戦争を知らない若い世代では原爆投下を批判する見方が強く、18~29歳の年齢層では、原爆投下を「不当」とする回答が45%、「正当」とする31%を逆に上回っている。日本人コメディアンSaku Yanagawaの「原爆投下のジョーク」が、アメリカ人の中で笑いではなく、ブーイングに変わる日はいつになったらやってくるだろうか。