英国オックスフォード大学の進化心理学教授ロビン・ダンバー ⬆が 1992年に発表した、「知り合いの数は150人」という『ダンバー数』という定義をご存知だろうか。150人というのは、日本で言えば毎年やりとりする年賀状の枚数、いまならラインやフェイスブックの友だちの数で、「人間が安定的な社会関係を維持できる人数の上限」と 定義されている数字だ。ダンバーは人間の集団の大きさを推定するために、人間以外の霊長類から観察できる相関関係を利用し、38種類の霊長類のデータから回帰方程式を用いて、人間の平均的な集団の大きさは148(四捨五入して150)であると、ダンバー数を推定したという。「ダンバー数」を参考に、個人のネットワーク人数を考察してみると、自分に最も近い存在で精神的な支えになってくれる家族や親友の存在が5人、相手が亡くなったら大きな悲しみを感じる存在が15人、頻繁にコミュニケーションを取る相手が50人、相手のことがある程度わかっているのが150人程度というのは社会人としては常識的な数字であることはほぼ間違いない。人間が社会関係を維持するのに必要な人数については、葬式への参列者の数というのもある。「お葬式に関する全国調査」のデータによると会葬者の人数は64名が平均だという。しかし、インターネットが普及した現在では、30年前に発表された「ダンバー数150」の定義はもはや時代遅れと言えるかもしれない。一度連絡が途絶えた友人ともインターネットを通じて簡単に繋がることができるし、あらゆるネットサービスを使えば150人どころか数百人と簡単に付き合いを継続できるからだ。「知り合いの数は1,000人以上」が常識のネット社会の到来を、30年前のダンバー教授はどうやら予測できなかったように思われる(笑)